こんにちは。シュウです。
今回は、『7つの習慣』の第4の習慣の解説に入る前に、第4の習慣~第6の習慣を身につけていくうえで大切になる考え方をご紹介していきます。
「7つの習慣の要約があると嬉しい」「もっと分かりやすくなれば読めるのにな」という方に向けて、シリーズ化して解説しています。なお、第4の習慣以降の内容は、こちらの3記事を読んでいないと、内容が理解しにくくなってしまいますので、こちらを先にご覧ください!
書籍のほかにも漫画版も人気です!漫画の方が読みやすいという方はこちらもチェックしてみてくださいね。
本記事の内容はこちらになっています。
- 相互依存のパラダイム
- 人間関係を左右する「信頼口座」
- 人間関係を構築するときに大切な6つのポイント
それでは、見ていきましょう。
相互依存のパラダイム
相互依存とは何か
復習になりますが、パラダイムとは「ものの見方」です。今回からは、相互依存というパラダイムを学んでいきます。
相互依存とは、分かりやすく言うと「お互いに協力して最大の成果を生むことができる関係」を意味します。
相互依存になるためには、「依存状態」から脱却することが必要です。それが第1の習慣~第3の習慣の実践です。
コヴィー博士も次のように述べています。
自分を好きにならなくては他者を好きにはなれない、と言う人もいる。確かに一理あると思う。しかしまず自分自身を知り、自分を律し、コントロールできなければ、自分を好きになることはとても難しい。好きになれたとしても、短時間で消えてしまう上辺だけの思い込みにすぎない。
自分をコントロールできている人、本当の意味で自立している人だけが、真の自尊心を持つことができる。それは、第1,第2、第3の習慣の領域である。
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー、P255より
表面だけの人間関係はいずれ崩壊する
人間関係で大切になるのは、テクニックより「人格」です。あなたが「何を言うか」より先に「どんな人間なのか」を考える必要があります。
なぜなら、テクニックだけを使って人間関係を構築しようとしても、相手は「裏で違うことを思っているだろう」と二面性を感じてしまうからです。
例えば、職場内では取引先とかメンバーに対しての愚痴をめちゃくちゃ言っていて、いざお客様の前に出たらいい顔をして「この職場は良い人ばかりですよ」と言うようなケースです。
こういう人に応援されたとしても、全く心に響かないものでしょう。むしろ人間関係はもっと希薄になっていきます。
だからこそ、テクニックより人格を磨くことが先なのです。
人間関係を左右する「信頼口座」
コヴィー博士は、人間関係における信頼関係を銀行の口座にたとえて「信頼口座」と呼んでいます。
例えば、相手に礼儀正しく接したり、親切にしたりすると信頼口座の残高は増えていきます。信頼残高が多くなれば、多少のことで人間関係が崩壊することはありません。
しかし、日ごろから文句を言ったり、指摘したり、約束を破るようなことを続けると信頼残高は減っていき、人間関係に亀裂が入っていきます。
そして残高が減った先に待っているのは「対立」か「現実逃避」です。つまり、喧嘩をするか、お互いに話さなくなるかのどちらかということです。こうなると、人間関係の修復は非常に難しくなってしまいます。
いま私たちが日ごろ関わっている人は、常に信頼残高の預け入れが起こっていることを忘れないようにしましょう。
「信頼口座」の残高を増やす6つのポイント
相手を理解する
相手を理解することが信頼口座の残高を増やすうえで最も重要なポイントです。なぜなら相手を理解できないと、何を預け入れしていいのか分からないからです。
介護現場でのエピソード
私は前職で介護の現場にいた経験がありますので、その時の具体例を1つご紹介しましょう。
女性のAさんは、「介護施設から出たい!」とよく言っていました。当然施設から自由に出ることはできません。毎日「出たらだめです!」とAさんに言うと「嫌だ!なんで出れないのや!」ということが頻繁に起こっていました。
ここでのポイントは「相手の気持ちを理解すること」です。しかし、今の状態では全く相手の気持ちを理解できていません。
そこで私は職員の方に相談して、「いっそのこと少し外に散歩でもしたらどうでしょう?」と提案してみました。「もしかしたらAさんは昔から外出や散歩などが好きだったのかもしれない」と思ったからです。
そして外に出てみるとみるみる上機嫌になり、それからは気分の浮き沈みが落ち着くようになりました。
黄金律の実践
「何事でも人々がしてほしいと望むことは、人々にもその通りにせよ」(『マタイによる福音書』7章12節)という黄金律があります。分かりやすく言うと、「自分が他の人からしてほしいと思うことを、まずは自分から他の人にしよう」ということです。
コヴィー博士は黄金律に対して次のように述べています。
もっと掘り下げて考えてみると、この黄金律の本質が見えてくる。
自分はこう理解してほしいと思うように相手を一人の人間として深く理解し、その理解に従って相手に接する、ということではないだろうか。
素晴らしい親子関係を築いているある人物が、「一人ひとりの子供に対してそれぞれ違う接し方をしてこそ、公平に接していることになる」と話していた。
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー、P264より
相手を年齢や性別などのカテゴリーに当てはめてみるのではなく、一人の人間として理解することが非常に重要です。
小さなことを気遣う
思いやりのある気持ちを行動に移すことは、大きな預け入れになります。
私が実際に経験して感動したのは、ビジネスシーンで名刺に手書きのメッセージを書いてくれたことです。
なぜこれがうれしいのかというと、「手書きのメッセージを書いてくれたから」ではありません。確かにそれもうれしいのですが、もっと嬉しいのは、自分のことを考えてくれていたという事実があることです。
こういった小さな気遣いが、やがて大きな預け入れになることは言うまでもありません。
約束を守る
約束を守ると大きな預け入れになりますが、逆に約束を破ると大きな引き出しになります。
これがなぜかは、言わなくても多くの人が分かることだと思います。ですので、約束をするときは注意が必要です。
具体的には、想定できるリスクを考え、対処法も計画したうえで約束をすることです。
どうしても約束の時間に間に合わないことだったり、重大なことが発生してしまい、約束を守れないこともあるかもしれません。
その時に許してもらえるかは、信頼口座の残高にかかっています。日ごろからの積み重ねが大切です。
期待を明確にする
期待や役割を明確にすることは大切です。ただ、イメージがしにくいので、具体例を用いて解説していきましょう。
役割や目標に対して期待することが曖昧だったり、認識が食い違っていたりすると、たいていは人間関係に支障をきたすものである。(中略)しかし多くの場合、期待がはっきりと語られることはない。
そして、明確な言葉で説明していないにもかかわらず、具体的な期待を胸に抱いているものだ。
例えば夫婦なら、口には出さなくても、結婚生活における男女それぞれの役割をお互いに期待している。そのことを二人できちんと話し合うわけでもないし、そもそも自分が相手に何を期待しているのかはっきりと意識していないこともある。
しかし夫であれ妻であれ、相手の期待に応えれば大きな預け入れになり、期待を裏切れば引き出しとなる。
だから、新しい状況になった時には、最初に当事者全員の期待を洗いざらい出すことが重要なのだ。
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー、P269より
「正直、こんな面倒なことをしないといけないの?」と思うかもしれませんが、長い目で見ればお互いの良好な関係のためには必要です。これが人生における「最優先事項を優先する」ということです。
誠実さを示す
誠実であることは非常に大切ですが、抽象的であるため少し具体度を上げてお話していきましょう。
誠実であるために最も大切なのは、「その場にいない人に対して忠実になる」ことです。
よくあるのが相手と親密になろうとするために「これは誰にも言わないでね、実は〇〇さんと〇〇さんって付き合ってて~」というシーンです。その場にいない人の秘密を第三者に明かしてしまっています。
そうなると、「もしかしたら私の秘密も、この人は他の人にバラしてしまうかもしれない」と思うかもしれません。これがいわゆる二面性のある(不誠実)な人です。
ただ、本当の意味で誠実な人は、相手と違う意見があった時に勇気をもって話すことができたり、耳の痛いこともしっかり伝えることができるものです。
引き出してしまったときには心から謝る
信頼残高を引き出してしまったときは素直に謝りましょう。
謝ることは、恥ずかしいし、周りの人はどう思っているんだろうと気になるものです。ただ、間違いを犯してしまったら、すぐに謝り、ミスの防止に努めることが大切です。
なぜなら、コヴィー博士はこの点に関して、次のように述べているからです。
間違いを犯すのは問題だが、間違いを認めないのはそれ以上の問題である。
間違いは許してもらえる。たいていの間違いは判断ミスが原因であり、いわば頭で起こした間違いだからだ。
しかし、悪意や不純な動機、最初の間違いをごまかして正当化しようとする傲慢さは心で犯した間違いだ。
心の間違いは、簡単には許してもらえない。
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー、P276より
このことから、人はテクニックより人格を重視しているのが、よくわかると思います。
相互依存の習慣
ここまで、人間関係を構築する中で大切になる考え方をご紹介してきました。
繰り返しになりますが、相互依存の関係を作るためには、「私たち」が自立した人間になることが先です。
この前提を踏まえて、次回からは第4の習慣の解説をしていきたいと思います。
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